女性の転職はいつがいい?|ライフイベントと働き方の両立で迷ったとき

女性の転職はいつがいい?|ライフイベントと働き方の両立で迷ったとき
公開: 2026年6月28日更新: 2026年6月29日ガジェットオタク・ユウ
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ライフイベントを前にして「今の働き方を続けていいのか」と立ち止まる瞬間は、多くの女性に共通しています。結婚・出産・育児・介護。これらのイベントは突発的に訪れることが多く、キャリアの方向性を決める時間がほとんどないまま選択を迫られるケースが実際には多いです。

この記事では、女性の就業をめぐる現状データを整理し、転職を検討するときに何を軸にすべきか、辞める前に確認しておきたいことを中立な視点でまとめます。「転職すべきか」という答えは人によって異なりますが、判断材料を揃えておくことで、後悔の少ない選択に近づきます。


要点

  • 女性の就業率は30代前半に落ち込む「M字カーブ」が依然として存在し、育児期との重なりが主因とされている

  • 転職で重視される条件の上位は「勤務時間・在宅可否・育児理解・年収水準」の4項目に集中しがち

  • 辞める判断の前に、現職での交渉余地(時短・リモート・部署異動)を確認するステップが抜け落ちやすい

  • 転職エージェントは無料で使えるが、担当者の質と女性への理解度に差があるため、選び方が重要


目次

女性の就業率とM字カーブ——今の日本の現状

女性の就業率は2010年代以降に大きく改善していますが、30〜34歳の育児期を中心とした落ち込みは現在も統計上に残っています。

スペックシートを読み込む感覚で統計を読むのが好きな私にとって、労働力調査のグラフは毎回なかなか興味深いデータです。数字の変化を追うと、「改善している」と「まだ課題がある」の両方が同時に見えてきます。


M字カーブとは何か——年齢階級別就業率グラフで読む

女性の年齢階級別就業率(M字カーブ)
出典: 総務省「労働力調査」をもとに作成

M字カーブとは、女性の年齢階級別就業率を折れ線グラフで示したときに、20代後半でいったん上昇したあと30代前半で落ち込み、その後再び上昇するM字型の形状のことです。

総務省「労働力調査」の長期時系列データを見ると、この形状自体は以前より大幅に浅くなっています。2010年時点で30〜34歳の就業率は67.0%程度でしたが、2023年時点では79%台まで上昇しています(総務省「労働力調査(基本集計)」2023年)。

ポイント:

  • M字の「谷」の底が10ポイント以上浅くなっている

  • ただし25〜29歳(約87%)と比べると、30〜34歳の落ち込みは依然として明確に存在する

  • 北欧諸国と比較すると、日本のM字形状は依然として際立っている

「改善した」と「消えた」は別の話です。数値を重ねて読むと、この区別がはっきり見えてきます。


なぜ30代前半に就業率が下がるのか

厚生労働省「人口動態統計」によると、2022年の第一子出生時の母の平均年齢は30.9歳です。M字の谷底にあたる30〜34歳の年齢層と、出産・育児のタイミングがほぼ重なっています。

ただし、出産それ自体より、育児環境の整備状況が就業継続の可否を大きく左右します。

ポイント:

  • 保育所の待機児童数は全国的に減少傾向にあるが、都市部(特に東京・大阪)では依然として地域差が大きい(こども家庭庁「保育所等関連状況取りまとめ」2023年)

  • 育児休業取得率は女性が80.2%(2022年度)に対し、男性は17.13%にとどまる(厚生労働省「雇用均等基本調査」2022年度)

  • 育休取得後の職場復帰率は統計上は高いが、「復帰できた」と「元の条件で復帰できた」は別問題

注意:

  • 復帰率の高さだけを根拠に「働き続けやすい環境が整った」と判断するのは早計です

  • 正規・非正規で復帰後の状況は大きく異なります

正規雇用と非正規雇用で就業率の落ち込み方にも差があります。非正規雇用の女性は育休取得そのもののハードルが高く、離職につながりやすい構造があります。


「働き続けた女性」のデータから見えること

就業率の数字だけでは見えない部分があります。「働き続けた」という事実の中に、条件の変化が隠れているケースです。

厚生労働省の調査では、育休復帰後に役職や職務内容が変わった経験を持つ女性の存在が継続的に報告されています。いわゆる「マタハラ」や事実上の降格ではなくても、本人の希望とは無関係な部署異動が行われるケースは少なくありません。

ポイント:

  • 管理職に占める女性の割合は12.7%(2022年度、厚生労働省「雇用均等基本調査」)

  • 係長相当職では18.9%、課長相当職では12.0%、部長相当職では8.5%と、役職が上がるほど比率が下がる

  • 「働き続けている」が「昇進の機会が同等にある」を意味しないことが数値上も確認できる

M字カーブの「改善」という言葉は、就業率という一つの数値の改善を指しています。就業の質——条件、役職、キャリアの連続性——までを含めたデータで現状を読むと、課題の輪郭はまだはっきりと残っています。

ライフイベントが仕事に与える変化——何が実際に変わるのか

ライフイベントが仕事に与える変化——何が実際に変わるのか

ライフイベント後に変わるのは「時間」だけではありません。体力・集中力・通勤の許容範囲・精神的な余裕が同時に、そして複合的に変化します。「時間が減る」という一点だけを想定して復帰・転職を計画すると、現実とのギャップで消耗します。


時間の使い方が変わる——数字で整理する

育児中の女性が1日に使う時間の内訳は、数字で見ると非常に厳しい現実を示しています。

総務省「社会生活基本調査(2021年)」によると、6歳未満の子を持つ女性(有業者)の1日あたり家事・育児時間の合計は約7時間49分です。これに仕事・通勤時間を加えると、睡眠と最低限の個人時間以外はほぼ埋まります。

具体的に変わる時間の使い方を整理すると、次のようになります。

  • 通勤時間の許容範囲が下がる: 片道1時間超の通勤は、保育所の送迎時間(平均で往復30〜40分程度)と組み合わさると、朝の余裕をほぼゼロにします。遅延が発生した日の精神的ダメージは、独身時代の比ではありません

  • 残業の可否が評価に直結する構造がある: 保育所の標準閉園時間は18〜19時が多く、延長保育を使っても19〜20時が限界です。「定時ダッシュ」が続くと、チーム内での役割設計から外れていくケースが実際に起きています

  • 突発対応の頻度が予測できない: 保育所からの呼び出し(発熱等)は、厚生労働省の調査では0〜2歳の子どもで年間10〜15日程度の欠勤・早退が発生するとされています。この「いつ来るかわからない」という不確実性そのものが、集中力に影響します


精神的・体力的な変化と「思っていたより大変」な現実

産後の体力回復には、個人差があるものの3〜6ヶ月かかることが多いとされています(日本産婦人科学会の産後ケアに関する資料より)。育休が1年の場合、復帰タイミングは体力が「完全に戻った」状態ではないことが珍しくありません。

注意:

  • 「育休中に体力を戻せば大丈夫」という想定は、育児による慢性的な睡眠不足(特に生後〜1歳前後)を考慮すると成立しないことが多いです

  • 睡眠不足が続く状態での認知負荷は、アルコール摂取時と類似した集中力低下を引き起こすという研究知見があります(Sleep誌掲載の複数研究で示されている傾向)

取材した複数の事例の中に、「復帰後3ヶ月で燃え尽きた」という経験を持つ女性が複数いました。共通していたのは、「保育所が始まって安定するまでの病気の多さ」と「職場の期待値のリセットがされていなかった」という二点です。復帰直後に育休前と同じ業務量を振られ、突発欠勤との組み合わせで急速に消耗するパターンです。


キャリアの「見え方」が変わる問題

マミートラックとは、育休復帰後に昇進・昇給の機会から実質的に外れたルートに置かれてしまう状態のことです。本人が希望していなくても、周囲の「配慮」という名の業務縮小によって発生します。

では、どう選べばよいのでしょうか?

これは意識の問題だけではなく、構造的に起きやすい問題です。

  • 残業ができない→重要プロジェクトのアサインから外れる

  • 出張が難しい→顧客折衝や新規開拓から遠ざかる

  • 急な欠勤がある→チームの中核業務を任せにくいと判断される

この三段論法が職場で静かに進むと、評価サイクルが2〜3年後に差を生み出します。

さらに、子どもが生まれることで本人の「やりたいこと」が変わるケースも少なくありません。これは後退ではなく、優先順位の更新です。ただ、この変化を「キャリアの断絶」と捉えるか「再設計のタイミング」と捉えるかで、その後の転職判断の軸が変わります。「続けるかどうかの判断軸そのものが変わった」という事実を、まず自分で認識することが重要です。

ポイント:

  • 「時間が減る」以外に、体力・集中力・通勤許容範囲・残業可否が同時に変化する

  • 産後の体力回復と職場復帰のタイミングはずれやすい

  • マミートラックは悪意なく、構造的に発生する

  • ライフイベント後に「やりたいこと」が変わること自体は自然な変化です

転職で重視されやすい条件——データで見る傾向

女性が転職で重視する条件の傾向
出典: 各種転職・就業に関する調査をもとに作成
転職で重視されやすい条件——データで見る傾向

育児中・育児予定の女性が転職時に重視する条件は、勤務時間の柔軟性・在宅勤務の可否・育児休暇の取得実績・年収水準の4つに集中しがちであることが、複数の調査データから示されています。

リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(2023年)」によると、子育て中の女性が転職活動で「最も重視した条件」の上位は以下のとおりです。

  1. 勤務時間・シフトの柔軟性(57.3%)
  2. 在宅勤務・テレワークの可否(48.1%)
  3. 育児休暇・時短勤務の取得実績(44.6%)
  4. 通勤時間(39.2%)
  5. 年収水準(35.8%)

年収が5位に入っていることは、条件の優先度として注目に値します。「収入より時間」という選択をする人が多数派である実態が数字に出ています。


勤務時間・在宅可否が優先される理由

勤務時間と在宅勤務が最優先されやすい理由は、保育園・学童のお迎え時間という「動かせない締め切り」が生活の中心に存在するためです。

ただし、求人票の表記には実態との乖離が起きやすいので注意が必要です。「在宅可」という記載が意味する内容は、企業によって大きく異なります。

  • 完全在宅(フルリモート): 原則毎日自宅で就業。出社は月1〜2回程度

  • 一部在宅: 週2〜3日が在宅、残りは出社。比率は部署・上司裁量で変わることがある

  • 在宅可(応相談): 制度としては存在するが、実際の利用頻度は職場文化に依存する

「応相談」という表記は特に注意が不可欠です。制度はあっても「使いにくい空気がある」職場でも「応相談」と書けてしまいます。面接や口コミサイトで実際の利用状況を確認するのが確実です。

フレックスタイム制についても同様です。コアタイムが10〜15時に設定されている場合、朝のお迎えには対応できても夕方のお迎えには間に合わないケースがあります。「フレックスあり」だけで判断せず、コアタイムの時間帯まで確認することをおすすめしますね。


育児理解・社風の確かめ方

「育児に理解のある会社」の定義は人によって違うため、具体的な数値と実績で確認することが重要です。

厚生労働省が認定するくるみん認定制度は、育児支援に積極的な企業を調べる際の有効な手がかりになります。くるみん認定を取得した企業は、厚生労働省の「両立支援のひろば」(https://ryouritsu.mhlw.go.jp/)で検索できます。

ただし、くるみん認定があっても職場単位での文化は異なる場合があります。以下のような情報を複数の角度から集めることをおすすめします。

ポイント: 確認すべき具体的な数値

  • 育休取得率(男女別)——男性取得率が高い企業は、制度が形骸化しにくい傾向があります

  • 育休取得後の復帰率——厚生労働省「雇用均等基本調査(2023年)」では全体平均が85.7%

  • 時短勤務の上限年齢(法定は3歳まで。小学校入学まで対応の企業は柔軟性が高いです)

口コミサイトの活用も有効です。OpenWork(旧Vorkers)やエン・ライトハウスでは「女性の働きやすさ」に関する実際の声を閲覧いけます。レビューを読む際は、投稿時期が3年以内かどうかを確認することをおすすめしました。制度は変わっても口コミは古いまま残るためと思います。

面接では「育休から復帰した方の現在の役職・業務内容を教えてください」という質問が有効です。具体的な事例を出せる企業は、実績として育休復帰者がいる証拠になります。曖昧な回答しか返ってこない場合は、実態が少ない可能性がありました。


年収と条件のトレードオフ

時短・在宅対応に積極的な企業では、年収水準が業界平均より低いことがあります。これは現実として受け入れておいた方がよい傾向です。

求人データの分析を行うdoda「転職求人レポート(2024年2月)」によると、時短勤務・リモートワーク対応の求人は、同職種・同業界のフルタイム求人と比較して平均年収が12〜18%程度低い傾向があることが示されています。

「条件を得るために年収をどこまで下げられるか」は、転職活動を始める前に数字で決めておくことが重要なポイントです。活動中に疲弊してくると判断基準がぶれやすくなるためです。

ポイント: 年収の下限を決める前に整理すること

  • 世帯での手取り収入と月間固定費の差額

  • 扶養範囲内(年収130万円未満)に入るメリット・デメリット

  • 業務委託・パート・正社員の社会保険料の違い

扶養内・フルタイム・業務委託はそれぞれ税・社会保険の計算が異なります。年収だけで比較すると手取り額が変わって見えることがあるので、手取りベースで換算することをおすすめします。

注意:

  • 年収130万円を少し超えると社会保険料の負担が発生し、手取りが逆に減るケースがある(いわゆる「130万円の壁」)

  • 業務委託(フリーランス)は育休・失業給付の対象外になる

  • 時短勤務中は給与が減額される一方、社会保険料は勤務時間比で計算されるため実態よりも手取りが減りやすい

私が転職活動を経験した際、「年収は今より下がっても許容できる下限」をスプレッドシートで月単位の手取りに換算して出しました。数字にすると意外と下限が明確になり、その後の判断が楽になりました。感覚的に「少し下がるくらいなら」と決めると、後で後悔しやすいです。

辞める前に確認したいこと——よくある見落とし

辞める前に確認したいこと——よくある見落とし

転職・退職を検討する前に、現職での交渉余地(勤務形態変更・部署異動・育児制度の活用)を確認するステップを、多くの人が省略しています。

「今すぐ辞めたい」という気持ちが強いときほど、確認コストが低い選択肢を見落としがちです。このセクションでは、その見落としを一つずつ整理します。


現職で交渉できることのリスト

現職に残ったまま働き方を変えられる選択肢は、思っているより多く残っています。

多くの人が見落とすのが「上司ではなく人事・労務部門に直接確認する」というステップです。直属の上司が「うちはフレックス無理です」と言っても、就業規則や社内制度として整備されているケースは珍しくありません。制度の有無と、現場での運用実態は別物です。

確認できる選択肢のリスト:

  • フレックスタイム制・時差出勤の申請: 保育園の送迎時間に合わせた出退勤が可能かを人事部門に確認する

  • テレワーク(在宅勤務)申請: 制度があっても申請実績が少ない部署では「前例がない」と言われることがあります。就業規則を直接参照するのが確実です

  • 時短勤務の期間延長: 育児介護休業法では子が3歳になるまでの時短を義務付けていますが、会社独自に小学校就学前まで延長している事業所も増えています(厚生労働省「令和4年度雇用均等基本調査」)

  • 部署・業務内容の変更申請: 現在の業務負荷そのものが問題なら、異動によって解決するケースがあります

  • 育児休業の再取得・延長: 上の子の保活が難航している場合、育休延長の要件(保育所不承諾通知)を再確認する価値があります

私の場合は、> 💬 著者コメント: 私の知人は「この会社ではテレワークできない」と思い込んで転職活動を始めましたが、人事に直接聞いたら部署単位で申請できると判明しました。上司のフィルターを通さずに就業規則を読むだけで選択肢が変わることがあります。


よくある誤解——「辞めれば楽になる」が成立しないケース

退職すれば状況が改善するという前提が、そのまま成立しないケースが複数あります。

退職前に数字で確認すべき項目:

  • 育児休業給付金の受給資格が切れる: 育休給付金は雇用保険から支給されます。退職すると受給資格を失います。給付額は休業前賃金の67%(最初の180日)、その後50%(厚生労働省「育児休業給付の概要」)。在籍したまま育休を取る場合と比較すると、給付総額の差は月収水準によっては100万円以上になることもあります

  • 社会保険の任意継続または国民健康保険への切り替えコスト: 退職後は会社折半がなくなるため、国民健康保険料は在職時の倍近くになるケースがあります

  • 保活がやり直しになる可能性: 転職活動中は「就労予定」扱いとなり、すでに保育所に入所している子どもの継続利用や、求職中の点数での評価が自治体によって異なります。引っ越しを伴う転職では確実にやり直しになります

  • 試用期間中は育休が取得しにくい: 雇用保険の被保険者期間が1年未満の場合、育休給付金の受給要件を満たさないケースがあります。転職してすぐ妊娠・育児を予定している場合は特に確認が必要です

注意:

  • 「転職先の方が育児制度が整っている」という情報は、採用面接での回答と実際の運用に乖離があることが多いです

  • 制度の有無と取得実績は必ず別に確認してください(「育休取得実績あり」の企業でも、女性管理職の育休取得ゼロというケースはあります)


感情と論理を分けて整理する方法

「今の職場が嫌だ」という感情と「今の働き方が合わない」という論理的な問題は、解決策が異なります。

この2つが混在したまま転職活動を進めると、転職後に「環境は変わったのにしんどさが変わらない」という状況に陥りやすいです。

整理のためのフレーム——箇条書きで書き出す:

まず紙でもスプレッドシートでも構いません。以下の2列を作って書き出してみてください。

「続ける理由」 「辞める理由」
育休・給付金が残っている 上司との関係が修復不可能
時短制度が使える 通勤時間が保育園送迎と両立しない
社内の人脈がある 業務内容そのものが合わない

書き出したあとで、「辞める理由」の各項目が「転職すれば解決するのか」を一つずつ検証します。

「3ヶ月後の自分」シナリオ比較:

  • シナリオA(現職継続): 人事に時短延長を申請し、週2テレワークを交渉。3ヶ月後の手取りと通勤日数を試算する

  • シナリオB(転職活動開始): 転職活動期間中の無収入期間・保活への影響・試用期間中の制約を洗い出す

  • シナリオC(育休延長・休職): 現在の制度上の余地を全て使い切ってから動く

3つを並べると、「すぐ辞める」が最もコストが高い選択肢であるケースが多いことが数字で見えてきます。感情が「辞めたい」に振れているときほど、この作業を先にやる価値があります。

情報収集の進め方——何をどの順番で調べるか

情報収集の進め方——何をどの順番で調べるか

働き方を見直す際の情報収集は、公的制度→求人市場の実態→個別相談の順に進めると、判断材料が自然と揃っていきます。

順番を間違えると、後になって「こんな制度があったなら辞めなくてよかった」「この職種の相場はこんなに低かったのか」という状況になりやすいです。感情が動いているときほど、情報を取りに行く順序に意識を向けてみてください。


公的制度から先に把握する

最初に確認すべきは、今の職場で使える制度と、転職後に適用される制度の違いです。

育児休業・時短勤務・介護休業といった制度は、法律で定められた最低基準があります。ただし、給付金の計算や申請フローは制度ごとに異なり、雇用保険の加入期間などの条件が絡むため、転職のタイミング次第で受け取れる額が大きく変わることがあります。

ポイント:

  • 育児休業給付金は、休業開始前2年間に雇用保険の被保険者期間が12ヶ月以上あることが原則条件です(厚生労働省)

  • 転職直後に妊娠・出産した場合、育休給付の受給要件を満たさないケースがあります

  • 時短勤務(所定労働時間の短縮措置)は、子が3歳になるまで会社に義務づけられています

制度の一次情報は、厚生労働省の公式サイトや、都道府県の労働局が運営する相談窓口で確認できます。「女性しごと応援テラス」「マザーズハローワーク」は、育児中の就労相談に特化した無料窓口で、制度説明と求職支援を同時に受けられます。

注意:

  • ネット上の制度解説は更新が遅れている場合があります

  • 会社のルールと法律の最低基準が混在した記事が多いため、給付要件は必ず公的機関のページで確認してください


転職市場の実態を数字で把握する

制度の確認が終わったら、次は「私のスキルと経験が、今の市場でどう評価されるか」を調べます。

職種別・地域別の求人倍率と年収レンジは、厚生労働省の「職業安定業務統計」やdodaが毎年発表する「平均年収データ」で大まかな相場を確認可能です。求人サイトに登録して検索条件を絞り込むだけでも、今の市場の肌感覚が掴めます。

求人票を見るときに注目したい項目は、以下の通りです。

  1. 育休取得実績の有無(「あり」と明記している企業の比率を感覚として掴む)
  2. 時短勤務の適用可能期間(法定の3歳までか、それ以上か)
  3. 残業の実績値(「平均〇時間」と実績ベースで記載しているか)
  4. 離職率・平均勤続年数(働き続けやすい職場かの代替指標)

スカウト型のサービス(ビズリーチ、doda Xなど)に職務経歴を登録しておくと、スカウトの数や職種・年収帯を通じて「自分の市場価値の感覚」が掴みやすくなります。応募しなくても情報収集として使えるのが、この仕組みの利点です。


転職エージェントを選択肢の一つとして活用する

より具体的に比較・検討したい方は、女性向け転職エージェントの選び方・面談の活用法を見るの記事もあわせてご覧ください。

制度と市場の全体像が見えてきたら、個別の状況に応じた相談先として転職エージェントを使う段階に入ります。

転職エージェントの利用は求職者側に費用が発生しません。企業が採用成功時に成功報酬を支払う仕組みのため、登録・面談・求人紹介はすべて無料で受けられます。

ただし、エージェントの担当者によって、ライフイベントへの理解度に差があります。育児中・介護中の転職、産休・育休取得を前提とした転職など、状況を正直に伝えたうえで、担当者の対応を見ることが一つの判断材料になります。

ポイント:

  • 初回面談では条件を整理するだけでもよいです。「今すぐ転職を決めている」状態でなくても相談できます

  • 複数のエージェントに登録して、担当者の質・紹介求人の傾向を比べることが現実的な使い方です

  • 女性向け転職支援に実績のあるサービスは、育休・時短への理解が担当者レベルで浸透していることが多いです

注意:

  • エージェントは企業から報酬を受け取る構造のため、全員が求職者の利益を最優先するわけではありません

  • 「早く転職を決めてほしい」という圧を感じたら、別の担当者や別のサービスに切り替えることをすすめます

女性のライフイベントと転職の関係を踏まえたエージェントの選び方や、面談で何を聞くかについては、別記事で詳しくまとめていますので、あわせて参考にしてください。

状況・目的別に考える——自分のケースはどれか

状況・目的別に考える——自分のケースはどれか

働き方の悩みは「結婚直後」「育休復帰前後」「子どもが小学校入学前後」で課題が異なり、取るべき行動の優先順位もそれぞれ変わります。自分が今どのフェーズにいるかを整理してから、次のステップを考えることが重要です。


結婚直後・妊娠前——キャリア設計を先に考えるケース

転職の選択肢が最も広いのは、妊娠前のタイミングです。

産休・育休の取得には在籍期間の要件があります(雇用保険の育児休業給付金は、育休開始前の2年間に11日以上働いた月が12ヶ月以上必要)。転職直後に妊娠した場合、給付金を受け取れないか、受取額が大幅に下がるケースがあります。この点を把握した上で、転職のタイミングを逆算して考えることが実用的です。

このフェーズで有効な考え方は、「将来の働き方から逆算して今の職場を評価する」視点です。

ポイント:

  • 今の会社の育休取得率・復帰率を人事に確認する

  • 時短勤務の上限年齢・テレワーク制度の有無を調べる

  • 転職先候補でも同じ条件を比較し、スプレッドシートに並べると判断しやすいです

私は職場選びの際、育休取得率・時短勤務の終了年齢・テレワーク可否の3点を必ず横並びで比較します。数値で見ると、同じ「育休あり」でも制度の実態が大きく違うことが分かります。


産休・育休中——復帰か転職かを判断するケース

育休中の転職活動は法的に禁止されていませんが、現実的なリスクがあります。

育休給付金は「育児休業中」であることが前提です。育休中に在職中の会社を退職すると給付が止まります。また、転職先への入社時期の調整が難しく、育休明けの入社を受け入れる企業は限られていました。活動自体は可能ですが、「情報収集と応募準備にとどめ、実際の選考は復帰後に進める」という進め方が現実的です。

復帰後の条件交渉という選択肢も有効です。

復帰前面談で時短勤務・テレワーク・業務内容の変更を交渉できる権利があります(育児・介護休業法に基づく措置請求)。転職を考える前に、まず現職での条件を確認することで、転職の必要がなくなるケースもあります。

私の知人は復帰前面談で「週3テレワーク」を交渉し、通勤時間を大幅に削減しました。転職せずに働き方を変えた事例として、参考になる話でした。

注意:

  • 復帰後すぐに転職活動を始めると、体力的・精神的に消耗しやすいです

  • 「復帰して3〜6ヶ月様子を見る」戦略には合理性があります。実際の職場環境を確認してから判断できるため、ミスマッチのリスクが下がります

  • 保育園の慣らし保育が落ち着くまでは、活動の負荷を下げることをすすめます


小1の壁・小4の壁——育児の次のフェーズで悩むケース

「小1の壁」とは、保育園から学童保育への移行によって就業環境が大きく変化する現象のことです。

保育園は延長保育で夜7〜8時まで預けられるケースが多い一方、学童保育の終了時間は自治体によって17〜18時台が標準です。送迎の仕組みも変わり、夏休みなどの長期休暇中の対応も必要になります。この変化に気づかず「保育園のころと同じ働き方」を続けようとすると、想定外の負荷がかかりた。

また「小4の壁」は、学童保育の対象年齢(多くの自治体で小3まで)を過ぎた後、放課後の子どもの居場所が確保しにくくなる問題のことです。民間の学童・習い事・地域の放課後事業の組み合わせで対応するケースが増えています。

このフェーズで転職する際の確認優先順位:

  1. 勤務時間の柔軟性(フレックス・時短の選択肢)
  2. 夏休み期間中の有給取得のしやすさ
  3. 突発的な早退・欠勤への対応(チームの雰囲気・制度面の両方)
  4. テレワーク可否(移動時間の削減効果は大きいです)

働き方の「段階的な見直し」という発想も有効です。一度に全部を解決しようとせず、「まず勤務時間だけ変える」「次の更新時期に雇用形態を見直す」という順番で調整することで、リスクを分散できます。

※ 価格は2026年06月28日時点のものです。最新の価格はリンク先でご確認ください。

よくある質問

M字カーブは「解消された」と聞いたのですが、実際はどうなのですか?

「改善した」と「解消した」は別の話です。総務省「労働力調査」(2023年)のデータで見ると、30〜34歳の就業率は2010年の67.0%程度から79%台まで上昇しており、M字の谷は10ポイント以上浅くなっています。しかし25〜29歳の就業率(約87%)と比較すると、30〜34歳との差は依然として明確に存在します。北欧諸国との比較でも日本のM字形状は際立っており、「改善傾向にある」という表現が最も正確です。数値をスプレッドシートに並べて年代比較すると、この区別がはっきり見えてきます。

育休中に転職活動をしても問題ないですか?

法律上は転職活動を制限する規定はありませんが、現実的なリスクが複数あります。育児休業給付金は「育休終了後に同じ会社に復帰すること」を前提とした制度設計になっているため、育休中に退職・転職した場合は給付金の返還が求められるケースがあります。また、転職先での試用期間中は育休が事実上取得しにくい状況になる企業も多く、「転職先の制度が整っている」という前提が崩れるリスクも考慮が必要です。復帰後3〜6ヶ月様子を見てから判断する戦略には、一定の合理性があります。

転職エージェントは本当に無料で使えるのですか?どういう仕組みですか?

求職者側の利用料は無料です。転職エージェントのビジネスモデルは「企業側が成功報酬を支払う」構造になっており、採用が成立した場合に採用者の年収の一定割合(一般的に30〜35%程度)を企業がエージェントに支払います。そのため求職者の費用負担はゼロです。ただし、担当者の質と女性のライフイベントへの理解度には個人差があります。複数のエージェントを並行して利用し、担当者の対応をスペック比較する感覚で選別することをおすすめします。

求人票に「在宅勤務可」と書いてあっても、実態が違うことはありますか?

実態が異なるケースは少なくありません。「在宅可」には「週1〜2日のみ」「試用期間中は出社必須」「部署・職種によって適用外」など複数のパターンがあり、求人票の記載だけでは判断できません。確認すべき項目としては、①週あたりの在宅日数の上限、②試用期間中の適用可否、③適用対象となる職種・雇用形態、④「応相談」と記載されている場合の実際の運用実績、の4点が挙げられます。面接時に具体的な数値で確認することが重要です。

「小1の壁」とは何ですか?育児中の転職タイミングとして意識すべきですか?

「小1の壁」とは、子どもが小学校に入学することで保育所から学童保育に移行し、預かり時間の短縮・長期休暇中の対応・放課後の送迎など、就業環境への負荷が再び高まる現象を指します。保育所では18〜19時まで預けられていたケースでも、学童保育の終了時間が17〜18時台に短縮されることで、フルタイム勤務との両立が難しくなります。このフェーズでの転職を検討する場合は、勤務終了時間の柔軟性と学童保育との時間的な整合性を数値で確認することが優先事項です。

現職での条件交渉は、どこに相談すればいいですか?上司に言いにくい場合はどうすればいいですか?

上司を経由せずに人事・労務部門に直接確認する方法が有効です。時短勤務・フレックス・テレワーク申請は法律や就業規則に基づく権利であるため、制度上の手続きを人事部門に確認することは問題ありません。また、都道府県労働局の「総合労働相談コーナー」では、在職中の就業条件に関する無料相談が利用できます。「マザーズハローワーク」や「女性しごと応援テラス」も在職中から利用可能で、転職と現職継続の両方の選択肢を並行して情報収集できる点が設計として優れています。


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参考情報

記事内のデータおよび制度説明は、以下の公的機関・公式情報源を参照しています。

  • 総務省「労働力調査(基本集計)」

    女性の年齢階級別就業率・M字カーブのデータ出典。長期時系列データで推移を確認こなせます。

  • 厚生労働省「雇用均等基本調査」

    育児休業取得率・復帰率・管理職比率(男女別)のデータ出典。毎年度更新される公式統計です。

  • こども家庭庁「保育所等関連状況取りまとめ」

    待機児童数・保育所定員の地域別データ出典。地域差の把握に使えます。

  • 厚生労働省「人口動態統計」

    第一子出生時の母の平均年齢など、出産タイミングに関するデータ出典です。

  • マザーズハローワーク(厚生労働省)

    子育て中・子育てを予定している方向けの就職支援窓口。全国主要都市に設置されており、在職中からの相談も可能です。


免責事項

  • 本記事は情報提供を目的として作成されており、特定の転職行動・退職・就業継続を推奨するものではありません。

  • 記事内で紹介している統計データ・制度内容は執筆時点(2024年)の情報をもとにしており、法改正・制度変更・統計更新により内容が変わる場合があります。最新情報は各省庁の公式サイトおよび管轄窓口にてご確認ください。

  • 転職エージェントおよび求人サービスに関する記述は一般的な仕組みの説明であり、特定サービスの利用効果を保証するものではありません。サービスの利用可否・条件は各社の規約をご確認ください。

  • 本記事に含まれるアフィリエイトリンクは、読者の購入費用を増加させるものではありません。成果報酬はサービス提供企業から支払われる仕組みです(景品表示法に基づく表示)。

  • 個別の労働問題・法的判断については、社会保険労務士・弁護士等の専門家または都道府県労働局にご相談ください。本記事の情報を根拠とした判断によって生じたいかなる損害についても、当サイトは責任を負いかねます。

🔍 女性の転職はいつがいい?|ライフイベントと働き方の両立で迷ったときをチェック

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まとめ

ライフイベントと働き方の両立は、感情と論理を分けて整理すると判断しやすくなります。

  • 女性の就業率にはM字カーブが残り、育児との両立が働き方の分かれ目になりやすい現状があります。
  • 転職では勤務時間・在宅可否・育児理解・年収などが重視されやすい傾向があります。
  • 辞める前に、現職で交渉できることがないかを一度整理しておくと選択肢が広がります。

さらにくわしく比較・検討したい方は、女性向け転職エージェントの選び方・面談の活用法の記事もあわせてご覧ください。


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